勘違いされやすいロールケージ装着のメリットとデメリットを中心にロールケージの基本知識をお伝えします。
ロールケージ装着の目的・必要性
ロールケージ装着の最大の目的は乗員保護です。特にオープンカーは、横転時にいとも簡単に乗員が死亡する恐れがあります。 そのため、ほとんどのサーキットでは、オープンカーの走行時にはロールケージの装着を義務付けてます。ただ、オープンカーに限らず多くのカテゴリのレーシングカーについて、ドライバーの安全性が確保されるよう、 規定に合致したロールケージの装着をレギュレーション(技術規則)で義務付けられてます。
クラッシュ経験者の多くは、口を揃えて『ロールケージ装着のおかげで生還できた』と語ります。 サーキットの直線にてクルマを信じ、躊躇なくベタ踏みできるというメンタル面上の副次的なメリットがあります。
クルマへのロールケージ装着により、乗員保護以外にもう一つ大きなメリットがあります。
それはボディ剛性が向上することです。
※ボディ剛性向上がロールケージ装着の主目的と捕らえられることもありますが、あくまで一番の目的は乗員保護ですのでご注意ください。
クルマのボディは案外柔らかくできており、コーナー突入時に遠心力およびブレーキングによりネジレが発生します。そのネジレにより内輪・後方タイヤのグリップが一時的に下がってしまいます。
ロールケージ装着により、そのネジレが起こりにくくなるためコーナリング時、タイヤのグリップが格段に向上します。
このボディ剛性の向上は、質のよいロールケージを装着することでサーキット上の運転に限らず、公道上の運転ですぐに体感できます。 結果、サーキットのコーナーに果敢に突っ込むことができるというメンタル面上の副次的なメリットをボディ剛性向上によって得ることができます。
ロールケージ装着時の注意事項
①ロールケージを装着することで、必然的にクルマの重量が増加します。
大まかに6点式ロールケージ装着により20kg程度(ロールケージの素材により3~4kg程度差があります)の重量増加を目安としてお考えください。
②ロールケージ装着により、車内居住性が低下します。
- 車内にパイプを這わせるため、搭乗口および車内空間が狭まり、乗降性、快適性および視認性が損なわれる
- フロント側のルーフを這わせるタイプのものは、純正のサンバイザーが干渉するため、サンバイザーを取り外したうえでロールケージを装着する必要がある
③ロールケージは公道でも使用することが可能ですが、以下の制限があります。
- 車乗員保護のため、ロールケージには緩衝材(パッド)を巻かなければならない
- 斜行バーを取り付ける場合は、必然的に後部座席が利用できないため定員数が2名乗車となる
⇒クローズドサーキットでのみ斜行バーを利用する場合であれば、車検にて定員数を変更する必要なし
※もともと定員が2名乗車タイプの車種であれば気にする必要なし - 2名乗車タイプのロールケージを装着した場合は、車検にて定員数を変更する必要がある
※こちらも、もともと定員が2名乗車タイプの車種であれば気にする必要なし
メリット・デメリット(まとめ)
ロールケージエージェントでは、ロールケージ装着時のメリットがデメリットを上回ると考えており、そのため質のよいロールケージ装着をオススメしております。
メリット
- 乗員保護力向上
- ボディ剛性の向上
- 安心してサーキットにてアクセルベタ踏みできるなどメンタル面の向上
- 直線でベタ踏みできる(乗員保護力が格段に向上していることによる安心感)
- コーナーに突っ込める(ボディ剛性が高まるのでタイヤのグリップが向上していることによる安心感)
デメリット
- 車両重量の増加
- 社内居住性の低下
- 車検対策要
- ロールケージパッド取付けは必須
- 乗員数変更(定員乗車→2名乗車への変更)が必要な場合がある